※この記事は2018年7月20日に投稿されたものです。
ピクスタのブレーンである経営陣やリーダーたちが影響を受けた本を紹介するコーナー。今回、紹介するのは、代表取締役社長 古俣よりこの一冊です。
どんな本か
知の巨人と言われるドラッカーの代表的著作。
現代にも通じる経営の様々な原理原則が散りばめられています。私もすでに節目ごとに4〜5回読み直していますが、経営者としてのステージごとに多くの学びを得ることができます。経営の原理原則を、ときには本質的に、ときには実用的に、ときには哲学的な表現で多くの示唆を与えてくれる名著です。
所感
この本の大元の著作は、40年以上前に書かれたものです。それだけでも驚きですが、ここに書かれている原理原則は、いまだ色あせることなく、むしろ知識社会、情報社会への移行が進む現代にはさらに輝きを増していると感じます。
40年以上前にこれらの原理原則を打ち立てたドラッカーの洞察力には感銘を受けざるを得ません。
さて、長く経営をしていると、いろいろな迷いが出ることが少なくありません。様々なステークホルダーが増えてくる中で、大小無数の意思決定をしていかねばなりません。中にはいくら考えても正解がわからない、という問題にもぶち当たります。
そこで大事になるのは、経営者として、組織として、企業として何を大事にするのか、という基本となる考え方です。
そんなときに、ドラッカーは数多くの事例と、膨大な知見を踏まえ、多大な示唆をこの本の中で与えてくれます。ベースとなる考え方への影響はもちろん、これまでも幾度となく迷いが出たときに、ドラッカーの言葉は常に正しい道のりを照らし、そのたびに自分を救ってくれました。
企業の目的とは
この本の中で、僕が最も好きで、最も核心と思えるパートがいきなり最初に登場します。「企業とは何か」「企業の目的とは」という問いです。
ドラッカーはこう言っています。
企業の目的とは、売上でも利益でもシェアでもなく、「顧客を創造することである」とドラッカーは言っているのです。市場をつくるのは企業であり、潜在欲求を有効需要に変える、または欲求を創造して初めて市場と顧客が誕生するのだと。
ぱっと読むと当たり前に思えるかもしれません。しかし、この核心をついたシンプルな原理原則により、自分たちは自分たちの外側にいる顧客(ユーザー)に価値を提供し、顧客を創造するために存在するのだ、という原点に立ち返らせてくれるのです。
より大きなリスクを負担できるようにする
また、不確実性の高い新たな挑戦をするときには、どうしても臆してしまうものです。ここでもドラッカーは、リスクを取ることの意味について、明快かつ論理的な言葉で後押しをしてくれます。
成長自体を目標にしない
スタートアップや新興上場企業であれば、成長し続けることは当然という認識があると思います。しかし何のために成長するのか、どのぐらいの成長を目指すべきなのか、という視点では誰も教えてくれず、「とにかく急成長を」と手段が目的化してしまうことも少なくありません。
しかし、ドラッカーはその点でも大きな示唆を与えてくれます。
ちなみに私達は売上やシェアよりも、まずは顧客(ユーザー)にとってベストなサービスになる、ということを最優先に置いています。
また利益というものに対しての位置づけも明快に示してくれています。
組織についての金言
その他この本には、組織についても多くの学びがあります。しかしすべてを紹介するのは量が多すぎるので、特に印象深い言葉を抜き出し、要約してご紹介します。ただ短文ではすべてを理解できないので、ぜひ本を買って詳細まで読んでみてください。
またこの本に限らずですが、名著と言われる本は、定期的に読み返すことをおすすめします。そのときの自分のステージによって、得られる学びが違ってくるからです。
自分も大学時代から数年ごとにこの本を読み直し、そのたびに新たな気づきと視座の高さを得られ、この本の奥深さを思い知るのです。
(執筆:代表取締役社長 古俣大介/撮影:コンテンツ部 CPG 矢島聖也 )