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自らキャリアをつくるということ〜3度のジョブチェンジで得た答え〜

 2013年にWebデザイナーとして入社し、その後、Webマーケター、Webディレクターを経て、人事へとジョブチェンジをした、櫻田すみれ。

 会社のあらゆる局面を乗り越え、今、人事総務部でカルチャー形成に取り組む櫻田に「キャリアの作り方」を聞きました。

櫻田 すみれ (Sakurada Sumire)
人事総務部 総務企画グループ

2013年、Webデザイナーとしてピクスタ株式会社に中途入社。PIXTAの海外展開を目的とした多言語サイトの制作やSEO対策を担当する。2014年4月、マーケターに転向。国内や台湾向けのマーケティングやPIXTAサイトのリニューアルなどに従事し、2017年8月から産休へ。2018年5月に再びマーケティングとして復帰し、fotowaユーザー向けのマーケティング施策を担当。2019年1月、fotowa事業部のWebディレクターに転向し、売上管理、販促企画、開発ディレクションに携わる。2023年、人事総務部へ異動し、現在はカルチャー形成に取り組んでいる。

絶対失敗できないプレッシャー!チャレンジの連続だったマーケター時代

ーーWebデザイナーとしてキャリアをスタートしてピクスタに入社した翌年、Webマーケターにジョブチェンジされていますが、経緯を教えてください。

 当時のマーケティング担当者が退職することになり、取締役や事業部長から「マーケティングをやりませんか?」と、声をかけてもらったことがきっかけです。何か選択肢がある時は「新しくチャレンジできる方を選ぶ」ようにしているんです。前職でもSEOやメルマガ制作に携わっていましたが、サイト規模もターゲットも全く違いましたし、広告運用は未経験。当時注力し始めていた海外展開も新しいチャレンジになると思ったので、その場で「やります」と答えました。

ーーWebマーケターへのジョブチェンジはいかがでしたか?

 振り返ってみると、大変だったなと思います(笑)。とにかく必死でした。
 特に、当時PIXTAは、画像・動画素材を1点毎購入できる「単品販売のPIXTA」と、毎月一定の素材をダウンロードできる「定額販売のImasia」の2つのサイトがあり、これをひとつに統合した時は大変でした。
 統合したら売上に影響が出てしまったんです。
 慌てて、サイトのリニューアルに取り組むことになったんですが、「もう絶対に失敗できない」というプレッシャーで、ご飯も味がしませんでした。
 無事、売上回復できた時は心底ほっとしましたね。

ーーこの頃、ご自身のキャリアについてはどのように考えていましたか?

 当時は、ただ目の前のことにがむしゃらに取り組むことで精一杯でした。
 自分のキャリアについて考えるようになったのはピクスタが上場して1年後ぐらいですね。
 知人から「コーチングの資格を取るので練習相手になって欲しい」と誘われて、コーチングを受けたことで、考えるようになりました。
 ありたい姿から逆算してアクションプランを描きましたが、実行はしませんでした。ちょうど、その頃に妊娠がわかって。
 当時はマネジメントする立場でもあったので、自分が長期間休むことを前提にチームをどうするか、後任をどうするかの方が優先で、自分のキャリア形成の優先順位が必然的に下がってしまったんです。

ーーそれから産休に入り、出産・育休を経て、Webディレクターにジョブチェンジされたのは、産休・育休中に気持ちに変化が生じたからでしょうか?

 実は、引き続きマーケターとして頑張ろうと考えていたので、マーケティング部に復帰しました。
 ところが「これは、やるしかない」という話をもらって、Webディレクターをやることになったんです。

やるしかない!会社のため、メンバーのためにした決意


ーーWebディレクターになった経緯をもう少し詳しく教えてください。

 産休から復帰して半年ほど経った頃、取締役とランチに行ったときに「これからのキャリアをどう考えている?」と聞かれたんです。
 当時は、マーケティング部でまだやりたいこともありつつも、長い目で「自分のキャリアをどうしたいか?」を問われた時に、自分がどこに軸足を置いてキャリアを築きたいのか、明確な答えを持っていませんでした。

 ただ、ピクスタの理念が好きで、共感してここにいるので「理念を実現するためなら、どんな役割でも頑張れます」と答えたら、後日、私が産休に入る前年に立ち上がった新規事業・家族向け出張撮影「fotowa」の事業部長から「fotowaでディレクターをしてくれませんか?」と打診されたんです。

 予想外すぎて「なんで?」と思いましたが、話を聞くと、fotowaには明確なボトルネックがあって、これを解決できなければ立ち行かなくなるという切迫した事情がわかってきました。誰かが絶対にやらなければならないのに、事業部長も手一杯で、とてもじゃないけれどできない。「助けて欲しい」と言われて、これはもう断れないな、と。

 fotowaを立ち上げた事業部長が、元マーケティング部で、私が採用したメンバーだったことも大きかったです。純粋に、力になりたかったんです。

 ただ、1歳の子どもがいる中での新しいチャレンジになるので、かえってチームに迷惑をかけてしまうのではないかと心配でした。でも「サポートします!」と言ってくれたので、私も決心しました。

ーーディレクターになってからは、いかがでしたか?

 これまた必死で(笑)。fotowaのSEO対策に始まり、フォトブック、ママ割など事業企画にも携わるようになって、求められる役割や期待もどんどん大きくなっていって、とにかく期待に応えなければと思っていました。

 ディレクターになって1年後、働きが評価されて、社内の年間MVPを受賞しました。頑張ったことを認めてもらえて、すごく嬉しかったです。
 同時に「来年、また今年以上に頑張らないといけないのか……」とも思ってしまったんです。

ーー頑張りが認められた喜び以上に、続けていくことの辛さを感じたんですね。

 周囲からかけられる期待は無限だなと思ったんです。すべてに応えていけるのか、いきたいのか。役割が広がり、期待が大きくなるにつれて「本当に自分がしたいことは何だっけ?」と、改めて考えるようになりました。

 産休から復帰する際に問われた「これからキャリアをどうしたいか」という言葉が、実はずっと頭の片隅にあったんです。上長との1on1で「どうなりたい?」「何がしたい?」と毎回問われ続けていたことも影響していたと思います。

ーーどのように考えていかれましたか?

 自分の志向がどこにあるのかを考えました。
 理念に共感していて、その実現に貢献したい気持ちは嘘じゃないけれど、自分が事業をつくりたいとか、事業部長を目指すような志向はないなと。
 では、私の強みは何で、どう貢献したいのか。企業に必要なリソースには、人・モノ・コト・情報・金など色々ある中で、そのどれかを考えた時に、最も興味があるのが「人」でした。

 コロナ禍で在宅時間が増えたタイミングで、以前、知人に付き合う形で知ったコーチングを、自分でも学び始めたタイミングでもありました。木曜日の夜と土曜の午前中にオンラインで授業を受けていましたが、私のチャレンジを応援し、時間をつくるためにサポートしてくれた夫にはすごく感謝しています。

 コーチングを通じた学びや、業務を通じて人に動いてもらわないとできないことの多さ、コミュニケーションの重要性、上司から「コミュニケーションに強みがある」と言ってもらえていたこと、ピクスタで一緒に働くメンバーが好きなこと。ひとつひとつが符合していく中で、改めてピクスタの「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」という理念を見た時に、ハッとしました。

 私は、自ら理念を体現し、メンバーみんながポジティブに働ける状態をつくりたい。「みんなの才能を活かし、いきいきと輝かせることで貢献したい」と思いました。

自分の意志で選んだ3回目のジョブチェンジ


ーー「人」を通じて理念の実現を支援したいと、自分のキャリアの方向に答えを見つけられてから、どうされましたか?

 まずは、自分の後任を採用・育成しました。それからコーチングの資格を取得したことを強みに人事への異動を自ら提案しました。
 ピクスタはボトムアップ型の組織です。やりたいことは自ら提案して切り開く文化です。だから、プレゼン資料を作って人事総務部長の竹内に直談判しました。

ーーどんなプレゼンをされたんですか?

 私のこれまで2回のジョブチェンジがそうだったように、多くの人はキャリア形成の主導権を会社に委ねがちです。しかし本来、キャリアの主導権は自分にあるべきですよね。ピクスタも、自らの進みたい方向と会社が目指す方向が重なることを大事にしたいと繰り返しメンバーに説いていましたが、自分のキャリア形成について考える機会や考え方そのものを提示できていたわけではありませんでした。

 でも、私ならコーチングを学んだ強みを活かしてそれを成せると思う、コーチングで組織貢献していきたい、と提案しました。

 竹内は私の提案をとても真剣に聞いてくれて、コーチングの強みを活かせるポジションとして組織開発の役割を提案してくれました。また、事業部門からコーポレート部門に異動する不安も汲み取って、大変なこともあると思うけど一緒に乗り越えよう、ピクスタを組織としてもっと成長させるためにも人事総務部にぜひ来てほしいと言ってくれました。

 後日、正式に異動のオファーをいただいたときも、これ、採用通知かな?というくらい歓迎していただけてとても嬉しかったし、自分で決めた道だから後悔しないよう、やりきろうと思えました。

ーーこうして振り返るとコーチングとの出会いが大きな転機になったようですね。自分が望むキャリアの道を歩み始めたわけですが、今後については、どのように考えていますか?

 まずは、目の前の人を大事にしたいと思っています。妊娠・出産を経験して、人を大事にしたいという想いがさらに強くなった気がします。会社のメンバーが自分の才能を活かし、ポジティブに働けるサポートができたらと考えています。

 具体的には、組織全体のカルチャー形成に向けたコミュニケーション向上施策や、研修プログラムなどで事業責任者の支援をしたいです。事業部にいた時、リーダーたちがいかに事業の成長を真剣に考え、多くの期待を背負っているかを見てきました。リーダーたちの孤独や悩みの理解者になりたいと思っています。

ーー最後に、キャリア形成に悩む方へ、メッセージをお願いします。

 私のジョブチェンジの1回目と2回目のチャンスは、会社から与えられたものでした。しかし、3回目の人事へのジョブチェンジは、今までと違い、自分でキャリアを築いている実感があります。

 これまでと全く畑違いの仕事のように見えますが、全くのゼロからのスタートだとは捉えていません。
 業務内容は変わっても、会社の理念を実現するという目的は変わりません。今は人事として、組織を活性化させることで会社の理念を実現することがミッションだと考えています。
 これまでマーケティングでKPIを意識していたこと、プロジェクトマネージメントをしていたことなど、様々な経験が今の人事に生きています。デザイナーの実務経験はプレゼン資料のデザインにも活かされてますね。

 あの時、多忙な中でもコーチングを学ぶチャレンジをしたからこそ、現在の私がいます。
 そして今、ひとりの人事として、コーチとして、メンバーのチャレンジを応援したいと心から思っています。チャレンジしたいことがあるのに一歩を踏み出せずにいる方は、ぜひ一歩踏み出してみてほしいと思います。

 誰だって未来について考える時は、ぼんやりしているものです。いまの自分は何を考えていて、どんな気持ちなのか。自分の思いを自分で確かめるために、コーチングを受けてみるのも良いと思います。私でよければ、ぜひ一度、お話を聞かせてください。

ーー 本日はありがとうございました。

(インタビュー・執筆:ピクスタ+編集部 / 撮影:PIXTAオンデマンド

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