【実録】わが社の在宅勤務Ⅲ〜社内コミュニケーション編〜
在宅勤務の課題のひとつが「社内コミュニケーション」。仕事を進める上で円滑な社内コミュニケーションは必要不可欠です。
とはいえ、在宅勤務中はオフィスで働いていたときのように、ちょっと話しかけて聞いてみるといったことはできませんし、空気を察するということもオンラインでは難しいのも事実。
そこで、「わが社の在宅勤務Ⅲ」では、「社内コミュニケーション」に注目し、各部署で行っている在宅勤務中のオンラインコミュニケーションを紐解きます。
[調査概要] 調査名称:在宅勤務に関する従業員アンケート2 実施期間:2020年4月14日〜4月20日 回答対象:ピクスタ株式会社の全従業員 有効回答:63名
うちの部署・私はこんな工夫しています!を聞いてみた
もともとチャットコミュニケーションが主流のピクスタでは、3月にとったアンケート結果のとおり、全体的に在宅勤務以前と比較して社内コミュニケーションに大きな変化を感じないという人が多いのですが、雑談する機会が減ったことで、4割程度のメンバーがやや難しさを感じています。
こうした状況を受けて、ピクスタの各部署で行いはじめたオンラインコミュニケーションの工夫についてきいてみました。
【いつでも繋がれる場所を用意】
ゲーマー向けのボイスチャットサービス『Discord(ディスコード)』 を使い、すぐに話しかけられる状態にしている
出勤時と同等な話しかけやすさを実現するために、Zoomで常時接続して、いつでも話しかけられる状態をつくっている
【すぐにオンライン会議!】
「ちょっと話していい?」コールを意識的に使うようにしている
音声チャットやビデオチャットを使ったほうがすぐ伝わると思った場合には、積極的に音声チャットやビデオチャットを使うようにしています!
説明しあぐねたら、すぐハングアウトする
業務に行き詰まったら、電話をして解消する・話して相談したい人(特に上司)には遠慮せず相談する
【会議を増やす】
部署内定例を週1から週2で実施するなど顔を見て話す機会を増やした
対面ミーティングを増やす
【こまめな共有・可視化とリアクション】
心理的安全性が下がらないように普段のチャットでもすぐリアクションをマメにとるようにする
現状の業務負荷、業務量をチーム内で意識的に共有
自分の状況を共有する・状況の可視化が難しくなったのでチャットで現状、悩んでいることをなるべく呟いておく
こまめに報連相・ちょっとした相談などは、チャットもすぐに送るようにした
「いつまでにやる」の期限を自分の中で決めて、公言するようにしている
ドキュメントやリストにして伝えたいことの可視化を以前よりももっと意識してやるようにしています
【チャットに感情を乗せる】
感嘆符(!)とか三点リーダー(...)とか絵文字とかを使って、無機質な感じにならないように気をつけています
【意図的な雑談】
チャット上でも可能な限り雑談を投げる
ちょっとした感想や発見などの小話を挟むようにしている
雑談多めで、楽しい話をするようにしている
時間に余裕があれば、意識的に雑談する
部署でZoom飲み
【会議の効率を上げる】
できる限り簡潔に伝える
相談したいことをミーティングの前にちゃんと整理する
まとめて話す 資料の事前共有と確認をしっかりする
時間厳守
こうしてみると、ポイントはオフィスにいるときのように「ちょっと、今いいですか?」を可能にする気安く声をかけられるようにする工夫や、姿が見えづらい分、メンバーがそれぞれ今の仕事の状態や心理状態を積極的にチーム内に伝えることを意識していることがわかります。
上司も部下も、メンバーひとりひとりが能動的に工夫しながら積極的に「共有・可視化」することは、円滑なコミュニケーションのひとつのポイントと言えそうです。
すぐにビデオ会議につないだり、オンライン上とはいえ、顔と顔を合わせて話す時間を積極的につくることも、ひとつの方法ですね。
でもWeb会議が負担になることも
しかし環境によっては、その大事なコミュニケーションツールである「Web会議」がかえって負担になることも。
メンバーにきいてみると、4割程度のメンバーは負担に感じることがあると回答しています。
理由を尋ねてみると……。
【ネット環境問題】
画面の硬直、ネットの不安定が出た時に追いつけない
環境の問題で音声画像が途切れることがある・家のネット回線が遅い
【Web会議ゆえの難点】
会話を切り出すタイミング(会話が重なってしまう時に、円滑なコミュニケーションが難しいなと思う)
発言するタイミングに少し気を遣うこと
自分がファシリテーションしたり、発言をたくさんしなければならないとき。反応が薄いと内容に対してなのか違うのか、気を遣う
聞き取りにくいことがあったときに、再度聞き返したりするとき
3名以上のミーティングの場合、発言のタイミングを図るのが対面のときよりも難しいと感じる。そのために思ったことが言えないこともある
「聞く・話す」のタイミングや反応など、対面でのミーティングよりもかなり意識を集中して取り組んでいるため、疲労感が大きい
【子ども問題】
子供3人が常に家にいるので、妻が家事育児にテンパっていたり子供が乱入してきてなかなか集中できない
赤ちゃんと隔離しにくい部屋構造のため、赤ちゃんの声が入るとまずい場合はウォークインクローゼットの中に避難
圧倒的に子ども……
子どもが乱入してくる
ミーティングが長時間にわたるとき。子供がおりなかなか集中が続かないため
【同居者問題】
実家にいるので、家族が話している
自宅で他の家族も在宅勤務をしているので、音声が聞こえないよう配慮する必要がある
家族に気を使わせていることに気を使う
家族が同じ部屋にいて作業をすると雑音が入ってしまう
【プライベート空間問題】
場所の確保、トイレ/ベランダ
部屋の背景をどうしようか等考える
部屋が映り込むこと
発言のタイミングやリアクションを示す等の工夫で今後改善できそうなものもありますが、コミュニケーションに大事なWeb会議ツールも、それぞれの事情で困難だったりストレスにつながることも。特に、家族や子ども、パートナーとの同居組は顕著なようです。
住まい環境別に負担度合いをきいてみると、同居組の半数は「負担に感じることがある」と回答しています。
同居組がどんな工夫をしながら在宅勤務をしているのかは、また別記事で改めて紹介したいと思います。
そこはかとなく押し寄せる孤独感への対抗
さて、色々工夫をしている社内コミュニケーションですが、それでも時々押し寄せる寂しさ、ありませんか?
ちょっとさみしい、人恋しい。
積極的に雑談するようにしてはいても、とはいえ仕事中だし、過度にかまってちゃんになるわけにもいきません。
そんな時、どうしているか。メンバーにきいてみました。
KEMIOのYouTubeがくだらないけど可愛くて笑うことが増え、孤独感がなくなりました(これ本当)
オンライン飲みをするようになると全然孤独を感じなくなりました!
YouTubeで音楽を流し続けている
Zoomで人と喋る機会を作る
ビデオチャットや音声チャットを積極的に使うことで解消している
ラジオを聴く 音楽を聴く(体も動かしながら)
家族とのLINE、同じような属性の友人とご飯会、お笑い番組をみる
犬に話しかける、酒を飲む
正直にチームメンバーに「アタシ、今、寂しい気分なの…」と伝える
仲の良い人とオンライン飲み会。
discordでチームメンバーと雑談
朝会や夕会、部署のお食事会などの開催で、孤独感なく進められている
本を読んだり、人と話す
YouTubeや読書、プライベートな友人とのオンライン飲み会等で解決している人もいますが、メンバーに正直に「寂しい」と伝えたり、チーム内のオンライン飲み会やランチ会で解消しているメンバーも。
人と話すって大事ですよね。
仕事をするにも、人生を謳歌にするにも、その人のベストコンディションが望ましいはず。心身の健康を守るためにも、メンバーと孤独感を解消し合えるような時間も積極的に取り入れていきたいところです。
だからはじめた「いつでもトーーク」
同じチーム内なら、様々な工夫で少しずつ解消できるコミュニケーションですが、業務上関わりがないと、接点がなくなってしまうのも確か。
そこはかとない孤独感の件もありますし、部署横断でコミュニケーションできるライトな機会は必要だ! ということで取り入れたのが、この「いつでもトーーク」です。
もともと、ピクスタには「ランチトーーク」という福利厚生があります。
毎月、ランダムに4〜5人のメンバーが組まれ、一緒にランチする制度です。もちろん、会社支給で上限1,000円までランチ代が出ます。
しかし、在宅勤務になるとそれもままなりません。オンラインでやればいいと思っても、それこそお子さまのご飯の準備、同居人との兼ね合い等を考えると「ランチ」がハードル高い人もいます。
そこで、「ランチ」「おやつ」「ディナー」の3種類にわけて、参加可能なタイムを選び、その中でランダム編成されたメンバー同士でコミュニケーションをとれる、「ランチトーーク」に代わる「いつでもトーーク」を行うことにしました。
やり方は簡単。編成された即席メンバーで開催日時を決めたら、Zoomでつないで、ランチやおやつ、ディナーを楽しみながらおしゃべりするだけです。
会社支給額上限1,000円は変更なし。デリバリーを頼んだりしながら、楽しく部署横断でコミュニケーションができるようにしました。
おわりに
在宅勤務は、メンバーの環境によって様々。
ひとりひとりのお互いへの配慮と積極的な情報共有、そして企業単位でできる工夫の掛け合わせで、快適な仕事・チームプレイを実現しつつあります。
どの企業でも、在宅勤務中は試行錯誤の連続だとは思いますが、ピクスタの取り組みが、少しでもみなさまのお役に立てたら幸いです。
(執筆:経営企画部 広報グループリーダー 小林順子)