ピクスタの行動指針「PIXTA WAY」が形骸化しない秘密
多くの企業が理念を持ち、そこで働くメンバーの理解と共感を大事にしていると思います。
近年では理念だけでなく、それを実現するための行動指針・行動理念も重要視されています。「社是」だったり「信条」だったり、「クレド」や「バリュー」と呼ぶ企業もありますね。
ピクスタでは、これを「WAY」と呼んでいます。
社外の方から、よく、
「御社は理念や行動指針がすごく根付いているように見えるけれど、どのようにメンバーに浸透させているんですか?」
「よく、形骸化せずにここまで浸透していますね」
とおっしゃっていただけるので、もしかしたら、ここまでメンバーに浸透しているのは珍しいのかも知れません。
そこで、本記事ではピクスタの「WAY」と、そのWAYがいかにしてメンバーに浸透したのかを紹介します。
ピクスタの6つのWAY
PIXTA WAYは6つあります。
Win-Win-Win
スケール化のために仕組み化
インパクト志向
変化適応と変化創出
全員イニシアチブ
セルフバージョンアップ
パッとみただけだと「?」と思うものもあるかもしれません。
意味の詳細は、ピクスタのコーポレートサイトで解説しているので、ぜひご参照ください。
PIXTA WAYは、いずれも、
プラットフォーマーとして大事にしたいこと
企業と個人が成長し続けるために大事にしたいこと
理念に基づいて、メンバーも個人の才能や持ち味を活かしていくために大事にしたいこと
をベースにつくられています。
これら6つのWAYがメンバーの価値観となり、日々の判断基準になっているのです。
たとえば、ミーティングの席でも、度々、
「これだとWin-Win-Winになってなくない?」
「まさに、変化創出だね!」
「仕組み化していきたいよね〜」
など、ふとした瞬間に、ポロリと会話の中に登場します。
ちなみに「全員イニシアチブ」だけは、言いづらいせいか、噛んじゃうからか(わたしだけかな)、発言回数は少ないように思いますが、意識はしているはずです(笑)。
では、どうやって、メンバーの口からぽろっと出るぐらいにWAYが浸透したのでしょうか。
それを紐解く鍵が「WAY浸透委員会」の存在と、2ヶ月に一度開催している「WAY振り返りミーティング」です。
WAY浸透委員会とは
「WAY浸透委員会」とは、文字通りWAYの浸透を目的とした委員会活動です。
毎年各部署から1名ずつ選任され、一年の任期の中で、役員と一緒にWAYの浸透に努めるのが委員会の役割。
WAYが最初につくられた2012年から現在に至るまで、脈々と委員会活動が継続され、オフィスに掲示する「WAYボード」をつくったり、メンバー全員に配る「WAY BOOK」を作ったのも、その時々のWAY浸透委員会メンバーでした。
当初は、浸透委員会も試行錯誤で、WAYを理解・浸透させたい一心で、つい、メンバーにWAYを押し付けがちになってしまった時期もありました。
でも、なんでもそうですが、どんなに素晴らしいものでも、押し付けられたり強制されたものだと、いい気持ちはしません。
「そもそもWAYは評価なのか? それとも文化なのか?」
ピクスタメンバーが30名〜40名規模になる頃には、そんな議論も巻き起こりました。
そのたびに、浸透委員会が中心となって、時には全社合宿で全員で議論しながら、ピクスタのWAYについて、みんなで考えてきました。
わたしたちがたどり着いたWAYの答えは「評価ではなく、文化」。
ピクスタメンバーとして「こういう考えでいたいよね」という価値観。
だとしたら、WAYに則った行動ができなかったからダメという考えではなく、メンバーが業務の中でくだした判断や行っていることをWAYに照らして考えてみる機会にこそ意義がある。気づきを得たり、より良くなったり、自信を持てる「場」をつくること。
そのために、「WAYについて語り合う機会」を持つことにしました。
それが「WAY振り返りミーティング」です。
WAY振り返りミーティングでやっていること
WAY振り返りミーティングは、その時々の浸透委員会が、毎回どんなミーティングにするか企画しています。企画内容によりますが、最近は部署横断シャッフルメンバーで行っています。
2ヶ月に一度、浸透委員会から全員に「振り返りテーマ」と共に、振り返りミーティングのためだけに形成された5名前後のチーム表が発表され、チームリーダーに認定された人が、一定の期間内で各々の良きタイミングでミーティングを開催します。
リーダー役には、通常業務内ではミーティングを仕切る機会も少ないかもしれない若手メンバーが選ばれることもしばしば。
ファシリテーションの練習の場としても良い機会になっています。
さらに、部署横断のシャッフルメンバーで開催されるので、意外と知らない「他部署の仕事の話」が聞けるのもポイント。WAYに照らして考えることで「実はうまくいっていなくて……」なんて話が飛び出して、「それなら、うちの部署ではこうしてるよ」「それいいね、具体的にどうやってるの?」「この場合は?」と盛り上がることも。
おかげで、毎回「他の部署の人の話がきけて面白かった!」と好評です。
WAYを通じてそれぞれの行動を振り返りながら語り合うことで、知っているつもりでよく知らなかったメンバーの仕事内容や、ささやかな、でもこんな機会がなければきっと話さなかっただろう小さな悩みやプチ工夫まで知れる良い機会になっています。
WAYの浸透だけでなく、社内コミュニケーションの活性化にもつながっているのです。
有意義だったと思える時間だから自然と根づいていく
隔月1時間でも「楽しかった」「有意義だった」と思えなければ、続きもしないし意味もありません。忙殺の最中だと「くあぁー! 今日WAY振り返りMTG入ってんじゃん。仕事終わらーん!」なんて、思う時もあります。それでも、いざミーティングに参加すると、参加して良かったと思えてしまう。
それはやっぱり、自分をWAYに照らして内省した上で、メンバーの仕事を知り、思考に触れ、アイデアに触れ、悩みに触れ、アドバイスをもらったり逆に自分の発言が誰かの励みになったり、互いに影響を与え合える機会になっているからこそなんだと思います。
おかげで、WAY振り返りミーティングでは、様々な名言も生まれています。
最後に、いくつか紹介したいと思います。
理念もWAYも、一朝一夕で浸透することはありません。
メンバーに唱和させたり、ポスターを掲示して目に映る機会を増やしたからと言って馴染むものでもありません。
定期的に振り返り、考える機会をつくり続けること。こうした地道な積み重ねによって、WAYが形骸化することなく「ピクスタらしい文化」が育まれているのです。
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(執筆/撮影:経営企画部 広報グループリーダー 小林順子)