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CSO遠藤が語る、ピクスタの新たな挑戦

遠藤健治(Kenji Endo)
 1976年5月生まれ。1999年法政大学法学部在学中に株式会社ガイアックス設立に参加、取締役兼CTOに就任。 2005年に株式公開を果たす。 2010年10月ピクスタ株式会社に入社、2011年3月取締役に就任。 現在は、CSO(Chief Strategy Officer, 最高戦略責任者)としてピクスタグループ全体の戦略・統括を担当している。

 初の社内公募を行い、PIXTA事業の派生サービス検討協議の結果生まれた商用写真の撮り下ろしサービス「PIXTAオンデマンド」。国内最大級のストックフォトサイト「PIXTA」に「PIXTAオンデマンド」が加わったことにどんな意味があるのか。CSOの遠藤に、その期待とピクスタの事業戦略、そして未来像に至るまでをオンラインインタビューで聞きました。

PIXTAオンデマンドへの期待

――「PIXTAオンデマンド」は当社初の社内公募という形で誕生したサービスですが、そもそもなぜ社内公募というスタイルをとったのでしょうか?

 一つ目は、様々な観点からアイデアを募ることで、広い視野を持ってアイデアを選択したかったからです。二つ目に、メンバーに普段の業務から離れて新規事業や会社について考えてもらい、自身の成長の機会として活用してもらいたかったです。それによって各々が事業づくりに主体的に参加する組織文化にしていきたいと考えています。

 結果、海外拠点も含めて約150名のメンバーから7件の応募が集まり、初めての公募にしては予想より多く、嬉しく思いました。

 中長期的にグループ全体の成長を考える上で、グループビジョンである「世界中の才能をつなぐクリエイティブプラットフォームを創造する」の通り、既存事業の成長・拡大と同時に、新たな才能をつなぐクリエイティブプラットフォームの創造をしていくことが我々の使命ですから、今後も定期的に公募は行っていきたいですね。

ーーそうして集まったアイデアから、PIXTAオンデマンドの誕生に至ったわけですが、PIXTAオンデマンドのビジョンを教えてください。

 「企業が抱えるあらゆる撮影需要を解決するサービス」というものです。

ーーなるほど。現状では比較的小規模な撮影需要に応えるサービス設計としてスタートした印象がありますが、「あらゆる撮影需要を解決する」ということは、たとえばナショナルクライアント(全国的な知名度やブランドを持つ大企業)の広告・動画撮影も見据えているのですか。

 ゆくゆくは狙いたいですね。まずは、店舗などがクライアントとなる撮影マッチングや、中小規模の制作会社から依頼を受けての撮影手配といった、比較的シンプルな撮影の市場から始めています。その先に、より大規模な撮影市場にもチャレンジしていきたいですね。

 理想を言えば、翌日撮影・翌日納品(依頼者は撮影前日でも発注でき、データは撮影日の翌日に納品される)まで実現させたいところです。そのためには、たとえばレタッチの自動化など、フォトグラファーの負担を軽減させたり迅速な納品をサポートする仕組みも合わせて実現していかなければならないと考えています。

 また、自社でサービスを提供するだけでなくAPI*1を活用するなどして、提携先を通じてより多くの撮影機会を得てフォトグラファーの収益機会の最大化も実現していきたいです。
 理想を挙げればきりがありませんが(笑)、理想を描きつつ市場の流れや変化に合わせて柔軟な進化をこれから果たしていけたらと思っています。

ーー「APIを活用した提携」というと、たとえばどんなイメージでしょうか。

 例えば、レストランの予約サイトが、自社の掲載飲食店向けに、撮り下ろしの有料サービスを提供し、裏側でシステム連携することで「PIXTAオンデマンド」のフォトグラファーに撮影依頼が自動で入るようなイメージですね。身近な例だとクリニックやエステ、美容院などでも、撮り下ろしが必要な場面はあるので、同じことがいえると思います。

ーーなるほど、いろんな場面で「PIXTAオンデマンド」を使っていただきたいですね。大規模撮影に即日納品、API連携……まだまだやりたいことがあって、夢が膨らみますね。

 商用出張撮影市場はまだグローバルでも圧倒的強者がいないことや、広告市場がまだ未成熟な国でもチャンスがあると考えているので、グローバルなサービスを目指せるだろうと考えています。

ーーすでに国内・海外を問わず様々な商用撮影を担うサービスが存在していると思いますが、それでも「圧倒的強者がいない」、あるいは「後発でも勝てる」と考えた背景をもう少し詳しく教えてください。

 従来、商用出張撮影というと、知り合い・人脈を利用したアナログな受発注が多く、最適にマッチングされるサービスがありませんでした。オンラインで依頼を受け付けること自体は市場全体の動きですが、実は、まだ裏側の仕組みも含めてすべてオンライン化されたものはありません。これまでアナログで手配されていたことを、「PIXTAオンデマンド」ではオンラインで一気通貫で納品まで持っていきます。

 まずはサービスをリリースをすることが最優先で、必要最低限の機能とし、利用者の需要をみながら、これからサービスを進化させていく計画です。

ーーこれまでの業界の常識を覆す可能性があり、わくわくしますね。
 グローバルでみたとき、広告市場が未成熟だと、一見撮り下ろしの需要はなさそうですが、チャンスがあると言えるのはなぜなのでしょうか。
 

 撮り下ろしは、飲食店や不動産などのリアルビジネスと相性が良いのです。レストランでメニューに写真があった方が伝わりやすいですよね。肌感覚にはなりますが、海外出張に出かけていた時期を振り返ってみて、広告市場が未成熟だと、ストックフォトの利用機会は限られますが、撮り下ろしの方がチャンスがありそうだなと感じています。

 「PIXTAオンデマンド」はグローバルに展開していくことを目指していますし、その可能性を持ったサービスだと思います。

PIXTAが目指すもの

ーー「PIXTAオンデマンド」という派生サービスが生まれたことで、「PIXTA」は「素材サイト」から脱しようとしている気配がありますが、「PIXTA」はどこを目指していくのでしょうか。

 一言で言うと、ビジョンにもある「クリエイティブ・プラットフォーム」ですね。クリエイターを、世の中の必要としている人とつなげる、その機会を多く作るという軸は変わりません。

 クリエイター目線だと、たとえば「PIXTAオンデマンド」では、写真だけでなくイラストや動画など、様々な活動の選択肢が揃っている状態をつくりたいですし、顧客目線で言うと、ビジュアルを必要としたときにPIXTAに来れば、すぐに手に入れることができる状態が理想です。これまではストックコンテンツしかなかったですが、撮り下ろし写真や映像、イラストが必要なときは「PIXTAオンデマンド」を、最終アウトプットには、「PIXTAエディター」をご利用いただくといったように、今後も増やしていくだろう様々な派生サービスとともに、様々なニーズにワンストップで応えられる状態にしたいですね。

 「PIXTAオンデマンド」は、PIXTA派生サービスの第一段として、PIXTAの知名度や利用者など、PIXTAで培ってきた資産を活用して成功する事例にしたいと思っています。

ーー今後も様々な派生サービスをつくっていくと思いますが、どんな構想を持っていますか。

 具体的な構想レベルで決まっているものは現状ありません。ただ、ピクスタが掲げる理念やビジョンを実現していく上で、例えばライターやフォトグラファーと依頼者をマッチングする記事制作のプラットフォームがあってもいいと思いますし、最適なビデオグラファーやナレーターが見つかる動画制作プラットフォームもありえるかもしれません。PIXTAに来ればあらゆるクリエイティブのニーズが解決する、総合的なクリエイティブプラットフォームを目指したいです。

ーーありがとうございました!

 ピクスタでは、理念・ビジョンに向けて、事業を進めていくメンバーを募集しています。


(インタビュー:ピクスタ+編集部 執筆:戦略人事部 採用担当 鈴木瑞穂 写真:fotowaフォトグラファー 林直幸 ほか)

*1:ソフトウェアやアプリケーションなどの一部を外部に向けて公開することにより、第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにするもの

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